All Eternals Deck Japanese liner notes
These are all of the liner notes to the Japanese issue of All Eternals Deck. Thanks tremendously to Andrew Fazzari for transcribing it!
If you'd like to translate it, please contact me! Other releases (notably On Juhu Beach and Get Lonely) have had different liner notes, so it would be wonderful to compare these to the English liner notes and see if there's anything else to learn about the album. Given the limited number of Roman characters in the text below, it seems clear that there is at least some writing in the Japanese edition that is not in the English version of the album.
The small amount of translated text is indented as in the other Japanese liner notes.
Table of contents
- Track listing
- Introduction
- Commentary
- Lyrics
- ダム・ヴァンパイア (Damn These Vampires)
- 蛇の誕生 (Birth of Serpents)
- 売物件の看板 (Estate Sale Sign)
- 王たちの時代 (Age of Kings)
- 剖検の花環 (The Autopsy Garland)
- 美しいガスマスク (Beautiful Gas Mask)
- 鷹(ハイタカ) (High Hawk Season)
- グレイト・カイン (Prowl Great Cain)
- スルドワール・ヴァリーの歌 (Sourdoire Valley Song)
- 蠍群の圏外 (Outer Scorpion Squadron)
- チャールズ・ブロンソンのやめに (For Charles Bronson)
- これからは自由さ (Never Quite Free)
- ライザ・゛フォーエバー“・ミネリ (Liza Forever Minnelli)
- Sticker
Track listing
THE MOUNTAIN GOATS / All Eternals Deck
ザ・マウンテン・ゴーツ / オール・エターナルズ・デック
- Damn These Vampires
- Birth of Serpents
- Estate Sale Sign
- Age of Kings
- The Autopsy Garland
- Beautiful Gas Mask
- High Hawk Season
- Prowl Great Cain
- Sourdoire Valley Song
- Outer Scorpion Squadron
- For Charles Bronson
- Never Quite Free
- Liza Forever Minnelli
Introduction
ザ・マウンテン・ゴーツは、シンガー・ソングライターのジョン・ダニエルを中心としたバンドだ。91年に5人組バンドとして結成。同年、カリフォルニアのシュリンパー・レコーズ(ルー・バーロウのセントリドーのリリースなどで知られる。00年代後半にはブルックリンのウッズの作品もリリース)から、初めてのカセット・テープ作品をリリース。その後もメンバー・チェンジや他のミュジシャンとのコラボレートを重ねながら、エンペラー・ジョンズやアブソリュートリー・コーシャーといったレーベルから多くのアルバムやEP,シングルをリリースする。当時のローファイ・ブームと結びついて、その筋では名の知られた存在となり、日本でも一部のファンからの支持を受ける。
彼らの知名度を飛躍的に申し上げたのが、2002年の4ADとの契約、そしてアルバム「Tallahassee」のリリースだろう。素朴で、寂寥感に満ちたアコースティック・サウンドの中に、一筋の希望を讃えたジョン・ダーニエルのヴォーカルが瑞々しく響くこの傑作アルバムは、より多くのリスナーに受けは入れられた。収録曲の「No Children」は、今でもライブで大合唱が起こるほどの人気曲だ。この頃からピーター・ヒューズが正式にメンバーとして加入する。バンドはその後も2004の「We Shall All Be Healed」、2005年の「The Sunset Tree」と、続けてアルバムをリリースし、名曲の重産体に入る。
2006年にジョン・ダーニエルとピーター・ヒューズはノースカロライナ州のデュラハムへと引っ越し、スコット・ソルターのプロデュースによる静かなる名作「Get Lonely」をリリースする。この頃、ライブでのサポート・ドラマーを探していた彼らは、ここで一人の重要人物に出会うことになる。
スーパーチャンクのメンバーであり、A.C.ニューマン(ニュー・ポルノグラファズ)やロバート・ポラード(ガイデッド・バイ・ヴォイシズ)をはじめとする多くのインディ・ロッカーたちのバックでもプレイしているドラマーのジョン・ワースターである。当時を振り返りながらジョン・ダーニエルは「僕とピーターは、ミッシング・ピースが見つかったように感じたんだ!」と語る。三人はすぐに意気投合し、ジョン・ワースターは「Get Lonely」ツアー参加。「Heretic Pride」制作時に正式メンバーとして加入し、バンドはトリオ編成となった。
スコット・ソルターとジョン・ヴァンだ―スライスがプロデュースを手がけた2008年作「Heretic Pride」では、ストリングスやディストーション・ギター、レゲエのリズムまで多くの要素を取り入れ、より外に開かれた明るさを持ったサウンドを提示。キリスト教の聖書からインスパイアを受けたという2009年作「The Life of the World to Come」(タイトルはキリスト教の信条の一筋からの引用)では、ジョン・ダーニエルの持ち前の優しく繊細な感性で、より内面的な世界を描きだした。ファイナル・ファンタジー改めオーうェン・プレットもヴァイオリン/ストリングス・アレンジで参加し、作品の世界観の構築に一役買っている。
2010年、バンドに新たな変化が訪れる。長年所属していた4ADを離れ、マージ・レコーズへとレーベルを移籍することとなったのだ。マージはスーパーチャンクのメンバーであるマック・マコーンとローラ・バランスの主宰するレーベル。ジョン・ワースターの加入以降、同じくノースカロライナを拠点に活動するスーパーチャンクとの交流が活発になったことを考えると、ごく自然な成り行きと言えるだろう(ちなみにスーパーチャンクのシングル「Digging For Something」に、ジョン・ダーニエルがコーラスで参加。歯料医役で同曲のMVに出演している)。まず移籍第一弾として、マウンテン・ゴーツ結成以前から活動しているという、ジョン・ダーニエルとナッシング・グレンズがエクストラ・レンズと名を変え、アルバム「Undercard」をリリースした。ブルーノも参加していた「Get Lonely」辺りのサウンドに通じる優しい雰囲気の楽曲が並ぶ佳作だ。
そして2011年3月、満を持して届けられたアルバムが本作「All Eternals Deck」だ。実に18枚目のオリジナル・スタジオ・アルバムとなるこの作品は、まさにこれまでの活動の総決算と飛ぶに相応しい、高いクオリティとバラエティの豊富さを両立したものとなっている。3人によるタイトなバンド演奏は更に結束を強め、ゲスト・ミュージシャンによるストリングスやスティール・ギターの演奏が表現の幅を広げている。
「『Burnt Offerings(邦題:家)』『Logan's Run (邦題:家)』といった70年代の映画を観た時に受けた感情を再構築したんだ。」そうジョン・ダーニエルは語る。基本的に静かな、ともすれば地味と言ってもいいものが多いマウンテン・ゴーツの楽曲だが、繊細な機微に溢れたアレンジは聴き手を飽きさせず、渾然一体となった歌と演奏は、一際エモーショナルに聴き手の心に驚くだろう。
『All Eternals Deck』では、曲によってそれぞれ遣ったプロデューサーが起用されている。「Damn These Vampires」「Prowl Great Cain」「For Charles Bronson」「Never Quite Free」がジョン・コングルトン(ポリフォニック・スプリー、ウォークメン他)、「High Hawk Season」がブランドン・エッグルストン(レス・サヴィ・ファヴ、ザ・ファーマシー他)、「Birth of Serpents」「The Autopsy Garland」「Beautiful Gas Mask」「Sourdoire Valley Song」がエリック・ルータン、そして「Estate Sale Sign」「Age of Kings」「Outer Scorpion Squadron」「Liza Forever Minnelli」の4曲がスコット・ソルター(スーパーチャンク、ジョン・ヴァンダスライス他)によるプロデュースだ。中でも特筆すべきはエリック・ルータンだろう。「デスメタルの魔王」と呼ばれたバンド、モービッド・エンジェルのギタリストとして活躍し、説退後にヘイト・エターナルを結成したデスメタル界の重鎮だ。本CDのブックレットのサンクス・クレジットにも、ヘイト・エターナルの名前が一番最後に記載されている。そういった背景を踏まえ、それぞれのプロデューサーが客楽曲にどのような影響を与えているのかを想像しながら聴くのも面白い。
マウンテン・ゴーツの音楽を語る際に重要な要素として、ジョン・ダーニエルの書く歌詞がある。『All Eternals Deck』とは、占い師が使うタロットカードのセットのことで、ジョン・ダーニエル曰く「宿命」や「運命」をテーマにした作品だそうだ。例えば、「Liza Forever Minnelli」では、運命を受け入れる主人公が歌われ、「Damn These Vampires」では宿命に対して戦いを挑む人間の姿が描かれている。また、実在の人物の視点を借りるというジョン・ダーニエル得意のスタイルは今作でも健在で、「For Charles Bronson」では俳優のチャールズ・ブロンソンになりきって歌っている。
この日本盤には歌詞の日本語訳を掲載している。馴染みの薄い固有名詞や時的表現が多く登場し、理解し難い部分のある彼らの歌詞の世界観を、より深く理解する手がかりとしていただきたい。
2011年2月 山本徹
Commentary
【moools酒井泰明 による、本作へのコメント】
mooolsが初めて海外で演奏したのはもう10年以上前、アメリカはオリンピアで行われたヨーヨーアゴーゴーというフェスで、そこで一番最初に友達になったのが、何を隠そうマウンテンゴーツ、ジョン・ダーニエルだったのです。彼と僕達で英和辞書を片手に毎日毎日とてもたくさんの話をしました。好きな音楽や、映画、食べ物、スポーツの話。そうそう、たしか野茂の話で盛り上がり、あのイチローのメジャーリーグ行きが決まったころで「たぶんそろそろ日本からすごいやつがそっちに行くよ」と話したのを覚えています。そう考えると出会いのエピソードが古いですねー(笑)。
彼の声って歌に乗るとすごく切実で、心に響くのです。普段の優しいしゃべり方も、誠実な所は同じです。今回の音源はその両方が入っている素晴らしい作品だと思います。
今でも僕たちはツアーでアメリカに行くと、彼がひょいと現れて、街を案内してくれるのをいつでも思い出せます。彼の後ろ姿とか、歩き方とか、笑い声とか。「おーい!ジョーン!ハロー!」
2011年2月 moools酒井泰明
Lyrics
ダム・ヴァンパイア (Damn These Vampires)
01.ダム・ヴァンパイア
ニアノースサイドの勇壮なカウボーイ
いくつものレールを夜を徹し駆ける
捕まえられ おまえは叫び背中を丸める
町中に おまえの拳の砕ける音が響く
雨の中 青いトランザムのハイビームが
平原の中 ブロンコの群れを追い立てる
ついにタービンシューッと音を立てる
ああ いつかそんなことも忘れるだろう
夜明けまで よつんばいで這い回る
あの吸血鬼の野郎どものせいなんだ
馬を外の柱に留め
ガラスのドアを開け放つ
ドアに映すのは 年端もいかなぬあいつらだ
記憶に留める価値も無い とは言えないか
異教徒のように愉しむが 決して満たされぬ
死んだ人間のように眠り そして目を覚めます
太陽がのぼった時には 光を憎まぬように
いつか、すくっと立って 歩いて行くだろう
夜明けまで よつんばいで這い回る
噛み傷は 動脈にまで届いてやがる
夜明けまで よつんばいで這い回る
あの吸血鬼の野郎どものせいなんだ
蛇の誕生 (Birth of Serpents)
02.蛇の誕生
ズームを引いてカメラに全景を入れる
ハッキリと 明らかに わかるように
目を凝らしてスクリーンを覗いてみる
水晶のうちにみえる未来のように
すべてを煙で満たしてみて
なんて 冗談? 誰が考えたの?
定着液に着けると 映像が浮かび出す
そしてトレーからその写真を取り出す
よく見てみる あなとと私を思い出す
そして解放された真実を取り出す
びっくり箱みたいに
何百何千もの鳩時計みたいに
オレゴンの街かど アイオワのとうきび
蛇たちが生まれる太陽灯のある部屋へ
トンネルを這い出ると
北西に向かって光を追う
彼の体に住む若い男を見よ
招かれざる客人のようだ
トンネルの捩れがわかるだろう・・・
生まれ持ったものを 離さずに握りしめろ
汚れた仕事は 暗闇のカメラ任せ
近く沈めて 高く上げて
ぼやけた写真を持ち出して来ては
今は忘れかけた時を思い出す
膝についた取れない傷・・・
この部屋 この時を忘れることはない
カリフォルニアの海岸線 アイオワのとうきび
蛇たちが生まれる太陽灯のある部屋へ
売物件の看板 (Estate Sale Sign)
03.売物件の看板
荒削りの木彫りの偶像 飛行士用のサングラス
聖戦から持ち帰って来たつまらないものや宝物
インパラに乗った男が通り過ぎざまに頭を振る
でも君と僕が未来を共有していたのは覚えてる
懸命に祭壇をつくった 生きていくために
いつしかできてしまった ケモの巣状の皹
犠牲的な汚れが拡散し 深く浸透している
でも、綺麗だったことだって確かだろう?
水面のはるか上で
鷲は魚を見つける
ジャングルの殉教者はみな、お願いを叶えるんだ
ポモナのモールの間抜な映像資料に映っている
可愛気なく立つイコン そして壁を立ち上がる埃
静かに捧げた祈りさえ 思い出すことなどない
でも 彼らが大切だったことを僕は覚えている
すべてのものは去りゆき 無価値なものになる
捨てられないものでさえ でも知りたくはない
光のもとに引きずり出し その秘密を照らそう
僕達は愛し合っていた 昼と夜と間わずに
水面のはるか上で
鷲は魚を見つける
ジャングルの殉教者はみな、お願いを叶えるんだ
(訳注:インパラ=シボレー社の車の名前)
王たちの時代 (Age of Kings)
04.王たちの時代
前衛の山 石の塔のなか
誰から身を隠す必要があるというんだ?
あの日 はじめて君を腕に抱いた
君が素直に抱かれたとき 僕は聖なる王になった
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
暗がりの中 コンクリートの壁によりかかって
スイッチを入れるのをためらう理由がどこにある?
君に名前がタトゥーのように僕の皮膚で燃え上がる
一晩中雨が降り 君は僕の顎の下に寄り添う
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
失われた時代
宝石はどこかにいってしまった
剣は控え石にささったまま
しかし熱は失われていない
小さな部屋はどんどん小さくなり終には消えた
入り口の狼たちは勢いをえた
いつ真実を言うべきだったか その瞬間を辿ると
影とその主が君と共に消え去ってしまっていた
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
金色の光がすべてのものに降り注いだ
王たちの時代には
剖検の花環 (The Autopsy Garland)
05.剖検の花環
見事に命中させたのか 奴は逃げた
今夜の空には赤い太陽が見える
ロンドンから西へ そしてハリウッドへ
カリフォルニアでの最初の日を思い出す
マスクをしていない奴らなど見たくはない
太った金持ち野郎と12歳の恋人たち
アールデコのカフリンク グラス横のコニャック
ロンドンから西へ そしてエメラルド・シティへ
ミネソタでの日々を思い出す
マスクや手袋のない奴らなど見たくはない
甘いスペアミントとビターなタンジェリン
ベッドサイドはバラで飾られている
西を 西を見ろ そして目を逸らせ
見慣れた 懐かしい人たちの顔から
マスクをしていない奴らなど見たくはない
美しいガスマスク (Beautiful Gas Mask)
06.美しいガスマスク
這々の体で霧を抜けて
目隠しされ 縛られて
いま俺達は立っている
地面に空いた穴の縁に
手をにぎりしめ 跳ぶ
落ちる間俺達は歌う
貧困者が城の壁を叩き
王に謁見させるという
眠るな 深く息をしろ
眠るな 息を
深く息をしろ
空間の奥深くに響く音
落ちてくる撃たれた鳥
口を開いた待つのは誰
行きながら辿り着く時
暗闇の中聞こえない声
お前はどこに居るんだ
物陰に居るのは確かだ
ただ只管に待つだけだ
眠るな 深く息をしろ
眠るな 息を
深く息をしろ
深く 慎重に息をしろ
吸口は離すな
毒々しい影が壁を飾る
跪いたまま起き上がる
誰かが報いを与えてくれる
或いは蚤みたいに潰される
眠るな 深く息をしろ
眠るな 息を
深く息をしろ
鷹(ハイタカ) (High Hawk Season)
07.鷹(ハイタカ)
今夜 鳥の羽ばたきが聞こえた
熱が光から力を奪っていた時だ
通りは僕が知る人たちばかり
君に似ている人たちばかり
眠ってるなら 目を覚ますんだ
僕らは超新星 今にも爆発する
通りを彷徨う 車の間を
星々が生まれる音が幽かに聞こえる
夏は誠の心に真の姿をさらけ出す
信義のないところにではなく
眠ってるなら 目を覚ますんだ
僕らは超新星 今にも爆発する
昇るのは誰? 沈むのは誰?
誰がしっかりと生きていく?
誰がこの世から消えて行く?
ファン・コートラント公園から抻寄せる人々
三千人分の戦士の魂の塊が僕らを導く
至る所にスプレーで僕らの夢を吹きつけろ
リズムに合わせて 偶然を捕まえるんだ
眠ってるなら 目を覚ますんだ
僕らは超新星 今にも爆発する
グレイト・カイン (Prowl Great Cain)
08.グレイト・カイン
墓場から玉石を集めて 家に帰ればまた埋める
君を招き入れた理由を僕を訊ねてくれるだろうか
コソコソ逃げてる? 戦うためだよ いつの日にか
奴らが来たとき 君がどんなに勇敢だったか覚えてる
罪の意識はあるけど 恥じてはいない
誰もいない廃部を彷徨う 偉大なカイン
大通りの瓦礫のあいだに幽霊を見た気がした
巧妙なマガイモノと霊感のタマモノの見分けは難しい
日々を夢遊しながら ただこの暗い時間を足踏みする
刃の上から這い出ようとする手虫のように
罪の意識はあるけど 恥ではいない
誰もいない廃部を彷徨う 偉大なカイン
公庫の焼け跡を探しまわり
僕の肩の汗を舐める
今朝トラックが出て行った いつ帰るかも知らない
良心の呵責 ときどき胸が痛い
ときどき忘却の波が押し寄せては 僕を祝福する
痛んだ心が呻き 治療法などないと思う時もある
罪の意識はあるけど 恥ではいない
誰もいない廃部を彷徨う 偉大なカイン
スルドワール・ヴァリーの歌 (Sourdoire Valley Song)
09.スルドワール・ヴァリーの歌
小さい石を大きい岩に叩きつけて
鋭くきれいにする
これで捕まえらえ 殺す
新しい刃は 切れ味がいい
そののち草が生い茂り
その鍛治場を覆い隠す
世界を半周したところで
歯が痛い時はこの根っこを噛め
こっちを噛めば気分がよくなり
人々が夢みてる楽しい夢をみる
ここにそれが生えているときは
そののち草が生い茂り
その鍛治場を覆い隠す
世界を半周したところで
蠍群の圏外 (Outer Scorpion Squadron)
10.蠍群の圏外
ほんとうに
幽霊を見たいのなら
世界を耕
君をいちばん傷つけるものを見つければいい
砂を掘っていけば見えてくる
するとそいつらの小さな目は見えなくなる
自分の居場所を確保するんだ
甲冑は鋭いで
そいつらが君を見つけるまでは働くな
そんなに長くはかからないから
砂を掘っていけば見えてくる
出てくると 半透明になるんだ
どうやってもそいつらはやってくる
愚か者が寄って集まってドアを閉めようとしても
僕の子供のころの幽霊たち
居たいのなら居ればいい
水のある場所を見つけて
動かなくなるまで沈めてあげる
砂を掘っていけば見えてくる
醜いなどと 誰にも言わせない
チャールズ・ブロンソンのやめに (For Charles Bronson)
11.チャールズ・ブロンソンのやめに
幸運をつかんだら
決して逃すな
現在と過去の間に
カーテンを引け
ラッキーナンバーは大切だ
だいたいそれで上手くいく
年齢などしぬまで誤魔化せ
幸運の上に居場所を見つけろ
集中しろ
撃鉄を起こして
銃をまっすぐに構えろ
夜毎体を鍛え
クールに 口数は少なく
勝者の心を保て
弱いヤツだと悟らせるな
お前の三面記事ネタについて
奴らが何を言っても
イメージは前向きに
集中力に感謝しろ
幸運の上に居場所を見つけろ
集中しろ
撃鉄を起こして
銃をまっすぐに構えろ
銃をまっすぐに構え 素直に 確実に
被写体になるんだ
カメラマンはまたやってくる
落ちぶれるまで働け
ただ彷徨い歩け
俺が生まれたのは
ペンシルバニアはエーレンフェルド
幸運の上に居場所を見つけろ
集中しろ
撃鉄を起こして
銃をまっすぐに構えろ
これからは自由さ (Never Quite Free)
12.これからは自由さ
君を受け入れる場所へ続く道が
窓のすぐ外にある わかってる
考えるとよく眠れる
その間際まで行っては引き返した君
君の内側にある平穏が重荷になっている
夜 夢をみる いいことさ
ソリッドな空も灰青色の大地も紛う方ないもの
でも 夜を見れば君にもわかる
前に進むため信じること
君のいる場所に広がる陰を恐れず
知るだけで呼吸も楽になる
最悪なことは全て過去のものだと
筏を揺らす波が君を陸地へ運ぶ
今を感謝して
頭上では空 足下では大地が君を守る
彼の吐息を聞け
信じて歩くんだ
これまでのことは関係ない
ここからなんだ
未来は永遠に拓けている
慰めに不自由することもない
ひとりになることもない
夕焼けの赤い空を見る
気持ちはとても静かだ
周りを見てみればいい
すべての星が出てきて
鋼の剣のように輝く
行く先での幸運を願うように
僕を見れば 君にもわかる
ライザ・゛フォーエバー“・ミネリ (Liza Forever Minnelli)
13.ライザ・゛フォーエバー“・ミネリ
君は身構えている
もうひとりの君に対して
誰かに寄りかかって 通りを北へと忍び歩く
奇病が暗闇に見せるのは
歩道の上の君の名前 僕の心に映る勇敢な君の顔
トランプをするときは目を閉じてベットする
逃げるな 目を背けるな
ここから出て行くつもりはない 決して
通りに寝転がり 目は太陽を見ている
隣には君というスターが輝いている
生まれてこのかた携えているコンパスが
ちゃんと働いたことはあまりない
リッジウッドからマルホランドを見遣る
丘の上から滑り降りる優しい影
戻って来い 戻るんだ その秘密を誰かに話せ
アイヴァー通りのホテルを夢に過ぎれば
そこに君がいる
逃げるな 目を背けるな
ここから出て行くつもりはない 決して
通りに寝転がり 目は太陽を見ている
隣には君というスターが輝いている
フットライトから舞台袖までカメラが私を追う
少しでいいから 甘い思い出にひたらせて
何度もレンズを磨くけれど上手く撮れない
最初の一行を歌い終える前に
「ホテル・カリフォルニア」が死んだと誰かが言う
逃げるな 目を背けるな
ここから出て行くつもりはない 決して
通りに寝転がり 目は太陽を見ている
隣には君というスターが輝いている
対訳 石崎一樹
日本盤ボーナストラック「Used to Haunt」の歌詞および対訳は省略させていただきます。
Sticker
THE MOUNTAIN GOATS — All Eternals Deck
ザ・マウンテン・ゴーツーオール・エターナルズ・デック XQFN-1083
USインディ界最後の大物。
孤高の今遊詩人、ジオン・ダーニエルが紡ぎ出す新しい物語。
その独特な詩の世界と、進化を続けるサウンドで、リスナーやミュージシャンから絶大な支持を得ているマウンテン・ゴーツの通算18枚目となるアルバム。より外へ開かれたダイレクトなサウンドを目指したという本作は、マウンテン・ゴーツの20年以上の活動の総決算と呼ぶに相応しい、高い完成度を持った作品に仕上がっている。その美しいメロディーを歌い上げるジョン・ダーニエルの希望をたたえた歌声は、何よりもエモーショナルに聴き手の心を揺さぶるだろう。
日本盤ボーナストラック収録、歌詞・対訳付
解説:山本徹(Monchicon!) 酒井泰明(Moools)
moorworks
定価¥2,400
(税抜価格¥2,286)
(Regarding) the compilation of bonus tracks on the Japanese record & their lyrics:
Translation and added explanation by: Tooru Yamamoto (Monchicon) & Hiroaki Sakai (Moools)